皆さんは頭でネガティブな独り言を繰り返してしまい苦しんだ経験はありませんか。
例えば、上司に怒られて、「自分はダメだ」のような言葉を何度も頭の中で繰り返してしまうなどです。
こうした、慢性的なネガティブな思考や感情を伴う脳内での独り言は、うつ病や不安神経症といった精神疾患に共通してみられる症状です。
そのため、脳内独り言を早めに止められれば、そうした精神疾患を予防することができる可能性があります。
この記事では、そんな脳内の独り言を止める方法について、論文や、書籍をもとにご紹介していきます。
ネガティブな脳内の独り言を抑えることができれば、より前向きに生きれるようになりますよ
なぜ脳内で独り言をしてしまうのか
では、なぜ脳内で独り言をしてしまうのでしょうか
それは、DMNと呼ばれる脳の神経ネットワークが活発化してしまっているからです。
まず、脳の神経ネットワークは、DMN、CEN、CNといった3つの種類に分かれていることが知られています。
- DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)
過去の出来事や未来の想像などをしているときに使われる。
- CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)
集中したり課題に取り組んだりしているときに使われる
- CN(セイリエンス・ネットワーク)
DMNとCENの切り替えをする
中でも、DMNが脳内を支配している時間は、平均的な人の一日の3分の1から2分の1と多くの時間を占めています。
つまり、脳内で独り言をしてしまうのは普通のことなのです。
しかし、DMNが通常より活発化してしまうことで、脳内でのネガティブな独り言が増えてしまうのです。
そして、そうしたネガティブな脳内での独り言が慢性化すると、脳内のDMNとCNの連携を強化し
うつ病やその他精神疾患などにつながってしまう危険性があります。
なので、そうした頭の中の独り言を止める方法について次でご紹介していきます。
頭の中の独り言を止める方法
一歩引いてみる
私たちは、ネガティブな感情や思考にさいなまれると視野がとても狭くなってしまいます。
視野が狭くなると、解決できる問題も解決できなくなってしまいます。
そんなときは、自分との距離を置いてあげることで、問題を解決できる可能性を高めることができます。
具体的に、自分の前を使って自己対話をするという方法を紹介したいと思います。
頭の中で自分を名前で呼びかける
本田選手がイタリアのACミランへの移籍インタビューの際に
「どのクラブでプレーしたいか、心の中のリトル本田に聞いてみた」(I just asked my little Honda in my heart which club do you want to play.)
という発言がありました。
このように頭の中で行う自己対話の際に、自分自身を名前で呼ぶことがあると思います。
こうした、自己対話の際に自分の名前で呼びかけることで、自分の考えをより広い視野で見ることができ、ネガティブな感情を抑えられることが分かっています。
その効果を証明した実験があります。
その実験では、被験者に審査団の前で行うスピーチを、5分間で準備してもらい、発表してもらいます。
そのときに、被験者を2つのグループに分けました。
一方のグループの人には、スピーチにまつわる不安について「私」という1人称を使って考え、もう一方では「彼」や「彼女」もしくは自分の名前を使って考えてもらいました。
すると
自己対話に自分の名前や三人称を用いたグループは、一人称を用いたグループに比べて
- 恥ずかしさや気まずさなどの精神的苦痛をあまり感じなかった。
- スピーチの出来栄えについて、くよくよ考えることが少なかった。
ということが分かったのです。
つまり、頭の中で考えるときに自分を三人称もしくは名前で呼ぶことで距離を置くことができ、ネガティブな思考を抑えることができるのです。
自然と触れ合う
自然と触れ合うことで、ネガティブな反芻思考を抑えられることが分かっています。
スタンフォード大学で行われた実験では38名の被験者を半分づつに分け、半分のグループには90分間自然の中を、もう半分には街中を歩いてもらいました。
すると
- 自然の中を歩いたグループは自己申告による反芻思考の減少が見られた。
- 街中を歩いたグループには、そのような変化は見られなかった
- 否定的な感情によって活性化される脳の部位(脳梁膝下野)(the subgenual prefrontal cortex)の活性が低下
という結果が見られたのです。
またワーキングメモリの記事でも紹介しましたが、自然との触れ合いによって認知機能も回復したりと良いことばかりです。
なので、脳内のネガティブな独り言に悩まされている方は、自然と触れ合うことをおすすめします。
まとめ
今回は、頭の中のネガティブな独り言について紹介しました。
今回の記事をまとめると
ネガティブな脳内の独り言が起きる理由
- 過去や未来に思いをはせる、DMNと呼ばれる神経ネットワークの活発化による
ネガティブな脳内の独り言を抑えるには
- 脳内での独り言を自分の名前を用いて行う
- 自然の中を歩く
ということをご紹介しました。
今回の記事が参考になったという方は、ぜひコメントなどよろしくお願いします。
脳内の独り言のしくみについてもっと知りたいという方は、下の本で詳しく解説されています。
ご覧いただきありがとうございました。
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