あなたは不安感が強くて行動できないといった悩みを抱えていませんか。
今回は、そんな不安感があっても、自分にとって価値のある行動を起こせるようになるための方法をご紹介します。
その名も、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)です。
ACTは心理療法の一つで、研究によってその効果が証明されています。
この記事では
- ACTとは何か
- ACTの簡単なやり方
についてできるだけ分かりやすく解説していきます。
この記事を書くにあたって、ACTの第一人者であるラス・ハリスさんの著書、『幸福になりたいなら、幸福になろうとしてはいけない』を参考にしました。
著者のラス・ハリスさんは
- 国際的なベストセラー作家
- 医学博士
- 心理療法士
- ライフコーチ
- 世界保健機関(WHO)のコンサルタント
と世界で活躍されています。
また、筆者の私も、うつのような症状に1年ほど前に悩まされ、自殺したいと思うほど悩んでいました。
しかし、このACTのテクニックを実践したことで、今では毎日を前向きに暮らせるようになりました。
そのため、この記事を読めば
- ACTの概要について理解する
- ACTを実践するテクニックについて学ぶ
- 不快な感情や思考に囚われずに、より良い人生のための行動がとれるようになる
ことができます。
ACTを実践することで、不快な感情・思考を持ちながらでも、行動を起こせるようになるので、目標達成にもぐんと近づきますよ。
ぜひ、今回ご紹介するテクニックを、読むだけでなく、実際に試してみてください。
ACTとは
ACTの概要とその効果
まずACTとは、アメリカの心理学者スティーブン・ヘイズさんとその同僚らによって開発された、心理療法の一つで、
- 人生を豊かに、最大限に、そして意味あるものとすること
- 人生で避けられない苦痛に効果的に対処すること
を目的としています。
ACTという名前は、Acceptance& Commitment Therapyという英語の頭文字をとったものです。
ここで、Acceptance(アクセプタンス)とは、嫌な思考や、感情を、変えたり・避けたり・追い払おうとせずに、受容することを意味します。
また、Commitment(コミットメント)とは自分の価値観に沿った、効果的な行動に専念するという意味です。
つまり、ACTとは、嫌な思考や感情を受け入れながら、理想の人生に向けた行動に専念できるようになる心理療法であるといえます。
また、気になるACTの効果ですが、様々な研究からACTは、うつ、不安神経症、慢性的な痛みといった、幅広い症状に効果を発揮することが分かっています。
- ACTとは、嫌な思考や感情を受け入れながら、理想の人生に向けた行動に専念できるようになる心理療法である
- ACTは、うつ、不安神経症、慢性的な痛みといった、幅広い症状に効果があることが証明されている
ACTの6つの行動原則
そうした幅広い効果が実証されているACTですが、ACTには6つの行動原則があります。
それは
- 脱フュージョン
- 観察する自己
- 拡張
- 接続
- 価値の確認
- 目標に向かっての行動
の6つです。
ACTではこれら6つの行動原則をもとに、
- 人生を変えるようなものの見方を育てる
- 心理的柔軟性を身に付ける
の2つを目指します。
心理的柔軟性とは、気づき、寛大な心、集中力をもって状況に対応し、自分の価値観に沿った効果的な行動をする能力のことです。
ACTの目的
- 人生を変えるようなものの見方を育てる
- 心理的柔軟性を身に付ける
心理的柔軟性=気づき、寛大な心、集中力をもって状況に対応し、自分の価値観に沿った効果的な行動をする能力
以下では、6つの行動原則それぞれについて説明していきます。
脱フュージョン
まず、脱フュージョンについて説明する前に、フュージョンとは何かについて説明します。
結論から言うと、フュージョンとは、思考を真実だと受け止め、それに全力で注意を向けている状態を指します。
例えば「自分はダメな奴だ」という思考が、頭に浮かんだとします。
このとき、浮かんできた思考を真実だと信じて、本当に自分がダメな奴だと思ってしまうことをフュージョンと呼ぶのです。
皆さんも経験があるかもしれませんが、ネガティブな思考とフュージョンしてしまうと、やる気の低下や、うつといった問題を引き起こしてしまいます。
そこで、ACTでは、そうした役に立たない思考とフュージョンしない、つまり脱フュージョンすることを薦めるのです。
このように、役に立たない思考から自由になることで、理想の人生を実現するのに重要なことに意識を向けられるようにすることを、脱フュージョンと呼びます
観察する自己
次の行動原則は、観察する自己です。
まず、人間の意識には、思考する自己と観察する自己があります。
思考する自己は計画、判断、比較、記憶などを司っています。
それに対して、観察する自己は、集中、注目、気づきなどを司っています。
例として、あなたが野球のバッターになったと考えてみましょう。
このとき、ピッチャーから投げられたボールの行方をただ追っているのが観察する自己です。
それに対し、「球が速いな」、「早めに振り始めないといけないな」などの判断をするのを思考する自己と呼びます。
このように考えたり、判断したりすることなく、ただ気づいたり、観察したりする意識のことを観察する自己と呼ぶのです。
拡張
次の行動原則は拡張です。
拡張とは、不快な感覚や感情を、追い出したりするのではなく、その居場所を体の中に作ってあげることを意味します。
拡張によって、不快な感覚や感情に居場所を作ってあげると、それらのあなたを不快にさせる力が弱くなります。
そして、不快な感情や感覚に必要以上に意識を向けることもなくなるので、すぐにそれらが去っていくようになるのです。
このように、拡張を行うと、嫌な感情や感覚に余計なエネルギーを使わなくてよくなります。
それにより、余ったエネルギーを豊かな人生を送るために使うことができるようになるのです。
このように、不快な感覚や感情が、自由に動けるための居場所をつくってやることを拡張と呼びます。
接続
次の行動原則は接続です。
ACTでは、思考や感情にとらわれることなく、「今、ここ」という経験に集中することを接続と呼び、重要視します。
その理由は
- たった一つの人生の半分を思考・感情にとらわれてしまうのはもったいないから。「今、ここ」にいないということは、耳栓をしながら音楽を聴くようなもの
- 人生を意味あるものにするには、行動を起こすしかない。しかし、行動を起こせるのは過去や未来ではなく、今だけだから
- 効果的な行動をとるには、現在起きていること、それに対する自分の反応、どう対応したいかに気づく必要があるから
という3つです。
つまり、人生にとって役に立たない思考や感情に反応してしまうと、現在に集中できなくなります。
そうすると、現在の状態を把握できなくなり、意味のある人生に向けた行動が起こせなくなってしまうのです。
このように、ACTでは思考、感情に囚われないで「今、ここ」に集中することを接続といいます。
価値の確認
続いての行動原則は価値の確認です。
まず価値とは、
- 心の中の何になりたい、世界とどう関わりたいかといった強い欲望
- 人生を通して私たちを導き動機づけてくれるもの
を指します。
ただし、価値は目的と同じ意味ではありません。
目的は、「結婚する」といった達成可能な成果のことです。それに対して、価値は、「全力で仕事がしたい」というように目指す方向を指します。
このように、自分に生きる動機を与えてくれるような強い価値を見つけることを、価値の確認と呼びます。
目標に向かっての行動
最後は目標に向かっての行動です。
価値は、見つけただけで意味のある人生になるわけではありません。
その価値に沿って行動することで初めて意味のある人生を送れるようになるのです。
このように、意味のある人生を送るために、価値観によって導かれた効果的な行動を取れるようになることを目標に向かっての行動と呼びます。
次の章では、これら6つの行動原則を実践するテクニックについてご紹介していきます。
ACTのやり方
この章では、ACTの基本原則6つの実践的なテクニックについてご紹介していきます。
脱フュージョンのテクニック
これから脱フュージョンのテクニックをご紹介していくのですが、その前におさらいです。
脱フュージョンとは、役に立たない思考から自由になることで、理想の人生を実現するために重要なことに意識を向けられるようにすることでしたね。
また、ご紹介するテクニックを行ってもらう上での注意点があります。
それは
- 不快な気分のコントロールに用いない。
- 不快な感情を無くそうとするのではなく、受け入れる
- 充実した人生には、フュージョンも必要である。ただし、役に立たない思考へのフュージョンは、人生を妨げる。
- 練習すればうまくなる
です。
これらの4つに注意しながら、行うようにしてください。
「私は~だという考えを持っている」と言い換える
まず、一番シンプルな脱フュージョンのテクニックは「私は~だ」を「私は~だという考えを持っている」に言い変えることです。
こうすることで、自分にとって必要のない考えと距離を置くことができるようになります。
例えば、あなたの頭の中に「私はいつも失敗する人間だ」などのネガティブな言葉が浮かんできたとします。
このときに「私はいつも失敗する人間だ、という考えを持っている」と言い換えるようにするのです。
このように、自分が必要でない考えの存在に気づいたら「という考えをもっている」と言いなおすようにしてください。
音楽の思考
次に紹介するのは「音楽の思考」と呼ばれるテクニックです。
自分に対する否定的な考えを、ハッピーバースデーの曲に合わせて、心の中で歌ってみるのです。
そうです、あのハッピーバースデートゥーユー♪てやつです。一度やってみてください。
どうでしょうか。結構難しかったかもしれません。
でも、自分に対する否定的な考えを、あまり深刻には考えなくなったのではないでしょうか。
そうなれば成功です。
慣れてきたら、自分の好きな曲でもいいかもしれません。
イメージに対する脱フュージョン
このテクニックは、不快感を引き起こすイメージに悩まされているかたにおすすめです。
ただし、拷問、虐待といったトラウマ的記憶に苦しまれている方は、きちんとした心理療法士の方と試すようにしてくださいね。
その方法とは
- 不快なイメージが動画の形で現れる場合は、それを10秒ほどに短縮し、画像の形であればそのまま、心の中のテレビ画面に映す。
- 画像の場合、イメージを逆さにしたり、大きくしたり小さくしたり、回転させるなどして遊んでみる。
- 動画の場合はスローモーションにしてみたり、2倍速にしてみたり、白黒にしてみたりする。
- 2もしくは3を10秒から2分ほど行う。
です。
これらを一日最低5分はやってみてください。
このテクニックの目的は、不快感を引き起こす映像や、イメージを、あるがままに無害にすることです。
くりかえしになりますが、これらのテクニックは、思考やイメージを忘れ去るためにやるものではありません
あくまでも受容するためのものであることに注意してください。
観察する自己のテクニック
観察する自己とはただ気づいたり、観察したりする意識のことでした。
ここでは観察する自己を発見するためのテクニックについてご紹介していきます。
身体意識のエクササイズ
身体意識のエクササイズは、観察する自己と、思考する自己の2つを区別できるようにするテクニックです。
- ステップ1
足から頭までの体の部位や、呼吸などにそれぞれ10秒間づつ、注意を向けていく。(足、膝、背骨、呼吸、腕、首、肩、体温、肌の表面の感覚)
- ステップ2
頭からつま先までスキャンし、緊張や違和感などがないか10秒間注意してみる。
- ステップ3
もう一度頭からつま先までスキャンし、心地よい感覚があるかに10秒間注意を向ける
どうでしょうか。
このエクササイズを行うことによって、考えが思考する自己から生まれ、気づきは観察する自己から生まれることが確認できたかと思います。
思考する自己がおしゃべりしている間に、観察する自己は体の感覚にずっと注意を向けていたことが分かりましたか。
もし分からなかったという方は、このエクササイズを、思考する自己と観察する自己の違いが確認出来るまでやってみてください。
できた方は、拡張のテクニックに移ってください。
拡張のテクニック
続いては拡張です。
拡張とは不快な感覚や感情が、自由に動けるための居場所をつくってやることでした。
拡張のプロセスでは、先ほどの観察する自己を用います。
拡張は基本的には以下の4ステップでできます。
拡張の基本4ステップ
- 1. 自分の気持ちを観察する
頭からつま先まで体に意識を向け、一番不快なものを探す。
見つけたらその感覚に注意を向け、科学者のように観察する。
(その感覚が、どこから始まって、どこで終わっているのか。その感覚はどんな形か。軽いか、重いか。温かいか、冷たいか。などなど)
- 2. 息を吹き込む
観察が終わったら、その感覚の中や周囲に息を吹き込む。
息を吹き込むとは、ゆっくり深呼吸をしながら、息が感覚の周りや中に流れ込むのを想像すること。
- 3. 感情の居場所を作ってやる
2で息を吹き込み、感覚の周囲に空間を与える。
そして、その感覚が自由に動けるようにする。
もし、感覚が大きくなるようなら、さらに大きく居場所を作ってあげる。
- 4. 容認する
最後に、その不快な感覚をあるがままにする。※感覚を排除したり、変えようとしない。
どうでしょうか、不快な感情をより受け入れられるようになったのではないでしょうか。
拡張をもっと練習したいという方は、最近起こった不安や、ストレスなどの不快な感情を思い起こしてください。
その感情を用いて、先ほどの4ステップを行うのです。
衝動のサーフィン
次にご紹介するのは、衝動のサーフィンというテクニックです。
ここでいう衝動とは、怒りを感じたときに物を投げたくなったりすることや、朝もっと寝ていたい
やめたいのにタバコが吸いたくなるなどのことです。
衝動のサーフィンは、5つのステップからなっています
衝動のサーフィン
- ステップ1 衝動を観察する
衝動を体のどこで感じているかに気づく
- ステップ2 衝動を認める
衝動が見つかったら「私は~という衝動を持っている」と心の中で言う
- ステップ3 衝動に息を吹き込む
感じている衝動に息を吹き込み、居場所を作る
- ステップ4 衝動の波を観察する
感じている衝動が大きくなったり、小さくなったりする動きを観察する。1~10までで衝動の大きさを評価するのも良い。
- ステップ5 自分の価値観をチェックする
衝動を認めたら、この衝動を行動に移すことで、理想の自分に近づくかを考える。
イエスならその衝動を動機として用い、ノーなら自分の価値に沿った行動を選ぶ。
このように、衝動に気づき、その居場所を作ってやることで、衝動を感じながらも、自分の価値に沿った行動ができるようになります。
接続のテクニック
続いては接続です。
接続は思考、感情に囚われないで「今、ここ」に集中することでしたね。
接続には簡単な4つのエクササイズがあります。
その前に注意ですが、これから紹介するエクササイズを行う際に、思考や感情の邪魔が入ると思います。
その時は
- 思考や感情を思うがままにさせる
- 集中力がさまよいだしたら、それを認める
- 思考や感情に「教えてくれて、ありがとう」というようにお礼をしエクササイズに戻る
ようにしてください。
接続のテクニック
- 環境につながる
見えるもの、聞こえるもの、感触、匂いなど、少なくとも5つの、物・音・感覚に注意を払う。 これを、画面から目を離して30秒間やってみる。
- 体への気づき
目を閉じて、足、膝、腰、胸など体の部位ごとの感覚に注意を30秒間向けます。
- 呼吸への気づき
呼吸をしながら、鼻の穴に空気が通ることや、胸が上下するのに30秒間注意を向ける。
- 音に関する気づき
30秒間目を閉じて、聞こえてくる音に注意をする。
このとき、環境から聞こえてくる音だけでなく、自分の発している音にも注意を向ける。
どうでしょうか、このエクササイズでは2つのことに気づくことができたと思います。
1つは、普段から私たちは様々な感覚の中に生きていること。
もう1つは、思考や感情が、いかに簡単に私たちの注意をそらすのかについてです。
現在に集中し、周りのことに気づくためにも、接続のトレーニングを毎日行うことをおすすめします。
価値の確認のテクニック
次は価値の確認です。
価値の確認は自分に生きる動機を与えてくれるような強い価値を見つけることでしたね。
ここからは価値を見つけるためのテクニックをご紹介します。
80歳の自分を想像する
このテクニックでは自分が80歳になったことを想像してもらい、人生を振り返ってもらいます。
そして次の文章を作ってください。
- 私は・・・を恐れることに時間を費やしすぎた。
- 私は・・・のようなことにほとんど時間を使わずにきた
- もし時間を戻せるなら、今までやらなかったことで、なにをやるだろうか。
心の中でやってもらってもいいのですが、紙に書いた方が理解しやすくなるのでおすすめです。
例として、私の場合は
私は、人と関わることを恐れることに時間を費やしすぎた。
私は、人と知り合うことにほとんど時間を使わずにきた。
もし時間を戻せるなら、もっと友人と遊ぶだろう
となりました。
どうでしょう、自分の価値と、現在の行動との違いがはっきりしたのではないでしょうか。
次はより具体的な価値を発見するためのテクニックをご紹介します。
価値を見つけるための質問
次のテクニックでは、人生における重要な4項目
- 人間関係
- 仕事・教育
- 余暇
- 個人の成長・健康の増進
について質問に答えてもらいます。
答えていく中で、自分の価値に気づくことができるようになるのです。
ポイント
- 価値は人によってさまざまで、良い、悪いはない
- 価値は目標ではなく、継続的な行動
- できるだけ紙に書く
上記のポイントに注意して下記の質問に答えていきましょう。
1 人間関係に関する質問
- どのような関係を築きたいか
- 関係の中でどのようにふるまいたいか
- どんな個性を育てたいか
- 「理想の自分」は他者にどのようにふるまうか
- あなたと関係のある何人かと一緒に、一生続けたい行動はあるか
2 仕事・教育に関する質問
- 職場、あるいは学校に自分のどのような資質を持ち込みたいか
- 「理想の自分」になったら、同僚や従業員、顧客や依頼人、同級生にどのように接したいか
- 職場や学校でどのような人間関係を築きたいか
- どのようなスキル・知識・資質を開発したいか
3 余暇に関する質問
- どんな趣味、スポーツ、レジャーに参加したいか
- 健康的なやり方で、どのようにリラックスし、緊張を解き、芸術活動を楽しんでいきたいか
- どんな活動に参加したいか、または、何を今以上に取り組みたいか
4 個人の成長・健康の増進に関する質問
- どんな活動を始めたいか、あるいは再開したいか
- どんなグループや組織に入りたいか
- 自分のライフスタイルをどのように変えたいか
どうでしょうか、自分にとっての価値はみつかりましたか。
自分にとって意外な価値もあったのではないかと思います。
思考や感情に惑わされていると自分の価値とつながれなくなってしまいます。
次章では、こうした自分の価値を動機として行動できるようにするための方法を解説します。
目標に向かっての行動のテクニック
最後は目標に向かっての行動です。
目標に向かっての行動とは、意味のある人生を送るために、価値観によって導かれた効果的な行動を取れるようになることでした。
この章では前章で見つけた自分の価値を、行動に移していくためのテクニックをご紹介します。
その前に以下のリストから、それぞれの分野における自分の価値観を確認してください。
- 家族
- 結婚その他の親密な関係
- 友人関係
- 仕事
- 教育と自己啓発
- 余暇、楽しみ、レジャー
- スピリチュアルなこと
- 地域社会での活動
- 環境や自然
- 健康や体
価値を確認したら、この中から一番重要だと思うもの一つ分野を選んで次のテクニックに用います。
なぜなら、一度に多くを変えようとすると、圧倒されて、諦めてしまう可能性があるからです。
意味ある目標設定
それでは、意味のある目標設定をする方法をご紹介していきます。
また、このテクニックをするときは必ず紙に書きだすようにしてください。
なぜなら、紙に書きだした目標の方が達成率が上がることが研究により分かっているからです。
意味のある目標を設定するには5つのステップがあります。
意味のある目標設定
- ステップ1 価値を書き出す
先ほど選んだ分野と価値について書き出す。例)「友人関係の分野では、私は友人に対して正直で、思いやりを持って接することに価値を置いている。」
- ステップ2 小さくて簡単な目標を設定する
自分に価値に沿った最も小さく簡単な目標を具体的に上げる。例)「友人に関する、悪口は言わないようにする。」
- ステップ3 短期の目標を設定する
自分に「価値に一致する小さな行動で、数日間又は数週間で私ができることは何か」と尋ねる
例)「友達と話すときは、相手の気持ちに共感することを心掛ける。」
- ステップ4 中期の目標を設定する
「私を自分の価値に導く、数週間から数か月間をかけて行う、予知大きい挑戦は何だろうか」
例)健康に気を使うの場合、「朝15分間散歩をしてみる」など
- ステップ5 長期の目標を設定する
「自分を価値に導く、今後数年間の大きな挑戦は何だろうか」、5年後どこにいたいだろうか
目標を立てる上で注意してほしいのは、やらない目標は立てないということです。
例えば、タバコをやめるといった目標は、やらない目標です。
その代わりに、タバコを吸いたくなったら、ガムをかむなど、やる目標を立てるようにしましょう。
行動計画を立てる
自分にとって意味のある目標が立てられたら、次は行動計画を立てていきます。
そのためにまず以下の質問に答えます
- 目標に到達するにはどんな小さいステップが必要か
- このようなステップを行うには何が必要か
- こうした行動をいつ起こすべきか
あなたの価値が肉体を美しく保つで、目標が一日15分筋トレをするだとします。
そのときあなたの行動計画は1どのような筋トレを行うかをきめる。2筋トレする器具を用意する、3筋トレする時間を決める、4予定を確認して、筋トレができるように調整する。となります。
そして、あなたが必要なものは、筋トレの種類を調べること、筋トレ器具を買う事です。
次にこれらの行動を起こす時間を決めます。例)今夜筋トレの種類を調べて、明日必要な器具を注文するなど
準備が難しい場合は、目標を準備しやすいものに変えるか、準備するための行動を考えてください。
それでは、紙とペンをだして実際に以下のことを書き出してみてください。
1 あなたの価値(価値観)
2 あなたの目標(すぐに達成するもの、短期、中期、長期)
3 目標達成のための行動計画
この思考を繰り返し行うことで、価値に沿った目標、それに向けた行動などが自然にできるようになってきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はACTとは何か、そして、その簡単な方法についてもご紹介していきました。
まず
- ACTとは、嫌な思考や感情を受け入れながら、理想の人生に向けた行動に専念できるようになる心理療法である
- ACTは、うつ、不安神経症、慢性的な痛みといった、幅広い症状に効果があることが証明されている
ということを確認したあと、
ACTには
- 脱フュージョン
- 観察する自己
- 拡張
- 接続
- 価値の確認
- 目標に向かっての行動
という6つの行動原則があるということを説明しました。
そして、それらの実践によって
- 人生を変えるようなものの見方を育てる
- 心理的柔軟性を身に付ける
ということを目的にしていることを説明しました。
そのあと、6つの行動原則について
そして、それぞれの具体的なテクニックについてご紹介させていただきました。
ぜひ、読んで理解するだけでなく、実際にテクニックを試してみてくださいね。
この記事が、不安で動けないという方の役に立てば幸いです。
今回参考にさせていただいたラスハリスさんの『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』では、今回紹介できなかったテクニックや、ACTを行う際のQ&Aなどためになる情報がたくさん書いてあります。
気になった方は、ぜひ、一度読んでみてくださいね。
参考文献
ラス ハリス (著), 岩下 慶一 (翻訳), 2015,『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』
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