あなたは
- プレゼンや会議の中でうまく説明できるようになりたい。
- 分かりやすく説明するにはどうしたらいいんだろう
といった悩みを抱えていませんか。
今回はそんな方に向けて
- 説明が分かりにくくなってしまう原因
- 分かりやすく説明するコツ
を例を用いながら解説していきたいと思います。
この記事は、小暮太一さんの著書『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』を参考に書きました。
小暮太一さんは、企業経営者や、出版コンテンツの言語化コンサルティングで累計1万件の実績を持つ、いわば言語化のスペシャリストです。
分かりやすく説明できるようになれば、理解されやすくなって、より他人に影響を与えられるようになりますよ。
私の書くダメな例をあなたの手で書き直してみるのも、練習になると思いますよ。
説明が分かりにくくなってしまう原因
まず、説明が分かりにくくなってしまう原因は主に
- 聞き手にとってテーマが分からない
- 使われている言葉の意味が分からない
- 説明が論理的でない
の3つだといわれています。それぞれについて解説していきます。
聞き手にとってテーマが分からない
まず、聞き手にとってテーマが分からないと、説明されても理解が進まなくなります。
例えば次の文章が指すものを当ててみてください。
- 白い
- ほとんどの家庭に置いてある
- 木からできている
- とても薄い
読んでいて、なんだこれと思ったのではないでしょうか。
答えはティッシュペーパーです。
このように、ただ日本語が読めても、テーマが分からなければ、話している内容が分からないという事態に陥ってしまうのです。
ほかにも、次のような文章を読んでみてください
「昨日は家族で海水浴に行こうとしたんですよ。でも向かっている途中で雨が降ってきちゃって、結局引き返して、家で家族と映画を観たんです。そしたらこの映画がとっても面白くて、考察まで調べちゃいました。」
読んでいて、何が言いたいのか途中まで理解できなかったのではないでしょうか。
彼が言いたいかったのはおもしろい映画を観たことですよね。
このように話しているテーマが分からないと、聞き手は困惑してしまうのです。
使われている言葉の意味が分からない
説明が分かりにくくなってしまう原因の2つ目は、「使われている言葉の意味が分からない」です。
ここでいう「使われている言葉の意味が分からない」には2種類あります。
- 言葉そのものの意味が分からない
- 使われている言葉のニュアンスが分からない
1つ目の「言葉そのものの意味が分からない」というのは、物理学を学んだことのない人に「ディラック方程式」や「ド・ブロイ波」などの言葉を説明の中で使ったとしても、知らないので分からないということです。
2つ目の「使われている言葉のニュアンスが分からない」というのは、例えば、あなたが上司にかっこいいデザインの服を作ってほしいといわれたとします。そのとき、かっこいいというのが何をもってかっこいいとするのか、そのニュアンスが分からないという意味です。
このように説明するときに相手が理解できない言葉や、ニュアンスのはっきりしない言葉を使ったりすると、聞き手は意味が分からなくなるのです。
説明が論理的でない
また説明が論理的でないと、聞き手にとって分かりにくくなってしまいます。
例えば次のような文章です。
「運動をすれば、脳内物質が出て、脳が鍛えられます。」
日本語の意味は分かるのですが、脳内物質によってどのように脳が鍛えられるのか分かりません。
このように論理的な説明がないと、たとえ日本語の意味が分かっても聞いている側は理解できません。
理解できるように書き直すとこうなります。
「運動すると脳内の脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質がよく分泌されることが分かっています。このBDNFは脳内の神経を新たに発生させたりする力があるなど、脳の肥料とも言われています。そのため、運動をすると脳が鍛えられるのです。」
このように論理が欠けていると、説明が分かりにくくなってしまいます。
分かりやすく説明するコツ7選
続いては分かりやすく説明するコツについて
- ストレートな表現を心掛ける
- 言いたいことは1文につき1つまでにする
- 主語と述語を近づける
- 修飾語を減らす
- 二重否定を使わない
- 英語とカタカナ語はできるだけ使わない
- 相手の世界観に合わせて説明する
という7つについて解説していきます。
ストレートな表現を心掛ける
まず1つ目のコツは「ストレートな表現を心掛ける」です。
なぜなら、説明の中で伝えたいテーマから脱線してしまうと聞き手が混乱してしまうからです。
例えば、「Aに決定した」という説明をするとします。
そのとき「Bにも可能性がなかったわけではなく、他にも、Cにした方がいいという意見もあったが、Aにした。」という説明をしたら、聞き手は結局何になったんだと、結論を聞く前にくたびれてしまいます。
このように、伝えたいテーマから外れた、「注釈」や「頭に浮かんできたこと」を説明に入れすぎてしまうと、どんどん説明は分かりにくくってしまうのです。
そのため、説明をするときはストレートな表現を心掛けると説明がより分かりやすくなるのです。
言いたいことは1文につき1つまでにする
2つ目のコツは「言いたいことは1文につき1つまでにする」です。
なぜなら1文でいろいろなことが言われていると、話しが分かりにくくなってしまうからです。
例えばこんな文です。
「私はこの前、小学校時代から仲のいい友人と1か月前から予約していた大阪の駅前にある焼き肉店で食事をしながら、近況や将来のことについて話をしたのだが、なんと彼はいま車メーカーに勤めているという。その後、次にまた遭う約束をした。」
とても分かりにくいですよね。
この文章を、「1文につき言いたいこと1つまで」に変えると
「私はこの前、小学校時代から仲のいい友人と食事をした。場所は1か月前から予約をしていた、大阪の駅前にある焼き肉店である。食事中お互いの近況や将来について語り合った。聞くところによると、彼は今車メーカーに勤めているらしい。食事の後、私達はまた今度遭う約束をした。」
どうでしょうか、話の内容がすっきりと分かりやすくなったのではないでしょうか。
このように1文に言いたいことを1つだけにすると、文章が途端に分かりやすくなるのです。
主語と述語を近づける
次のコツは主語と述語を近づけるです。
「私は付きあって5年になる彼氏と、朝早くから家を出て、その日の夕方に沖縄にある水族館を訪れました。」
このように主語と述語が離れてしまっていると、かなり文章が複雑に感じます。
これを主語と述語を近づけるとこうなります。
「私は付き合って5年になる彼氏と、沖縄の水族館を訪れました。朝早くから家を出たのですが、水族館に到着したのはその日の夕方でした。」
どうでしょうか。話の内容が整理しやすくなって、分かりやすくなったのではないでしょうか。
このように主語と述語を近づけると、話の内容が分かりやすくなります。
修飾語を減らす
修飾語が多いと分かりにくくなります。先ほどの主語と述語を近づけるという話にも関わってきますが、無駄に多い修飾語は話の内容を分かりにくくします。
例えば
「私は、古くからの歴史があり、とても有名で、日本国内屈指の難関大学だといわれている○○大学に合格しました。」
このように修飾語が多くなると、主語と述語の間隔も長くなりますし、理解するのも難しくなってしまうのです。
修飾語を減らして、書き直すとしたらこうなります。
「私は日本国内屈指の難関大学である○○大学に合格しました。○○大学は古くからの歴史があり、とても有名な大学です。」
どうでしょう、より分かりやすくなったのではないでしょうか。
このように、修飾語は減らして、他の文で説明すると分かりやすくなります。
二重否定を使わない
また、二重否定はできるだけ避けた方がいいです。
なぜなら、人間にとって二重否定は単純に理解しにくいからです。
例えば
「彼が犯人である可能性が無いわけが無い」
これはつまり「彼は犯人である可能性がある」ということが言いたいのですが、パッと理解できるものではありません。
なので、分かりやすく説明するには二重否定は避けた方が良いのです。
英語とカタカナ語はできるだけ使わない
続いてのコツは「英語とカタカナ語はできるだけ使わない」です。
例えばこういう文章
「KPIを重視した企業はパフォーマンスがアップした」
KPIとは「重要業績評価指標」とも呼ばれ、目標の達成度合いを測るために用いられる指標のことを指します。
しかしこの文はKPIを知らない人からしたらさっぱりですよね。
また「パフォーマンスがアップした」も何を意味しているのかが分かりません。業績が上がったのか、従業員の生産性が上がったのかなどどんな意味にもとれてしまいます。
このように、むやみに英語やカタカナ語を使うと、聞き手は話の内容についていけなくなってしまう恐れがあります。
なので分かりやすく説明するには、英語やカタカナ語の使用を控えた方がいいのです。
相手の世界観に合わせて説明する
最後のコツは相手の世界観に合わせて説明するです。
ここでいう世界観とは、相手の知識レベル、語彙、普段触れている情報を指します。
小学生低学年であれば、大人に比べて知識や語彙の量は少ないですし、普段見ているものは仮面ライダーやアニメなどになるでしょう。
もし、主婦の方でしたら昼ドラなどが彼女たちにとっての世界観の一部になるかもしれません。
このように相手によって異なる世界観を理解し、相手の世界観に合わせた説明を心掛けると、より分かりやすい説明ができるようになるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか、今回は説明が分かりにくくなってしまう原因と分かりやすく説明するコツについて解説しました。
説明が分かりにくくなってしまう原因は主に3つあり
- 聞き手にとってテーマが分からない
- 使われている言葉の意味が分からない
- 説明が論理的でない
ということをご紹介しました。
また分かりやすく説明するコツについて
- ストレートな表現を心掛ける
- 言いたいことは1文につき1つまでにする
- 主語と述語を近づける
- 修飾語を減らす
- 二重否定を使わない
- 英語とカタカナ語はできるだけ使わない
- 相手の世界観に合わせて説明する
ということをご紹介させていただきました。
今回参考にした小暮太一さん著『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』では、他にも実践的な言い換えのトレーニングや、聞き手の世界観を体感する具体的な方法論について解説されています。ぜひ、手に取ってチェックしてみてください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
参考文献
小暮太一[2011],『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』,光文社
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