自分やお子さんなど大切な人が発達障害かもしれないと心配されたことはないでしょうか。
実はいくつかの発達障害はワーキングメモリと深く関係していることが分かっているのです。
そこで今回は
- 発達障害とワーキングメモリの関係
- ワーキングメモリを改善するための習慣
についてお話ししたいと思います。
この記事を読むことで自分や周りの人の発達障害がどのようにして起こっているのか、さらに発達障害の症状を軽くするための方法を知ることができます。
早速見ていきましょう!
発達障害とワーキングメモリの関係

発達障害とワーキングメモリにはどのような関係があるのでしょうか。
関係が強いと言われている発達障害は以下の3つです。
- ADHD
- ディスレクシア
- 自閉症
それぞれ詳しくみていきます。
ADHD
ADHDの診断を下す際にワーキングメモリテストが利用されることもあるほど、ワーキングメモリとADHDは密接にかかわっているといわれています。
フロリダ大学で行われた、ADHDとワーキングメモリの関係を調べた研究では、ADHDを持つ児童とそうでない児童のワーキングメモリのスコアを比べました。
するとADHDの児童はそうでない児童よりもワーキングメモリのスコアが悪いことが分かったのです。
また、ワーキングメモリが弱いとADHDの症状が悪化してしまうようです。
つまり、ワーキングメモリが弱いことでADHDの症状が出ている可能性があるのです。
逆に考えれば、ワーキングメモリを強化することができれば、ADHDのような症状を軽減して学習能力を上げることができる可能性もあります。
ディスレクシア(読字障害)
また、ディスレクシアの要因の一つは、ワーキングメモリの弱さにあると考える心理学者がいるそうです。
ワーキングメモリには頭の中に言葉を留めておくという機能があります。
ワーキングメモリが弱いと、例えば単語を区別したり文脈を理解することが難しくなり、混乱してしまうのです。
ディスレクシアの学生と標準的な発達をした学生のワーキングメモリのスコアを比べた研究では、ディスレクシアの学生は言語に関わるワーキングメモリのスコアが悪かったことが分かっています。
つまり、ワーキングメモリの弱さが言語機能に異常をきたし、ディスレクシアが起こっている可能性があるのです。
自閉症
自閉症とワーキングメモリにも関係があることがわかっています。
イランの医学系研究大学の8~16歳の自閉症患者と正常な人を対象に行った研究では、ワーキングメモリテストのスコアの低下と自閉症には相関関係があることがわかりました。
自閉症者のワーキングメモリ能力の低さの原因として、脳の情報を選別し、関連付け、海馬に送る部分の活動が異常であるためではないかとする説があります。
つまりワーキングメモリは自閉症にも関わっているのです。

ワーキングメモリを改善するための習慣

続いてワーキングメモリを改善するための習慣についてお話ししていきます。
今回紹介する習慣は以下の3つです。
- ワーキングメモリに良い食べ物を食べる
- 質・量ともに良い睡眠をとる
- 外で自然と触れ合う
では早速それぞれについて紹介していきます。
ワーキングメモリに良い食べ物を食べる
ワーキングメモリを改善するための習慣としてまずは食習慣についてご紹介します。
ワーキングメモリにいいとされる食べ物は
- 野菜や果物などフラボノイドを豊富な食べ物
- 魚や肉などオメガ3脂肪酸を含む食べ物
です。
フラボノイドを含む食べ物とその効果
フラボノイドにはワーキングメモリを向上させ、老化に伴う記憶障害を食い止める効果があります。
それはフラボノイドに以下のような効果があるからです
- 脳の血行を良くする
- 酸化ストレスを軽減する
- 神経細胞の炎症の緩和と再生を行う
具体的な食べ物で言うと、
- ベリー類
- ハーブ類
- 野菜
- 紅茶緑茶
- プラム
- 赤ワイン
などがあります。
上記の食材を意識して摂るようにされてはいかがでしょうか。
紅茶や緑茶、赤ワインなどの飲み物は習慣的に飲みやすいのでおすすめです。(画像クリックでAmazonに飛びます。)
オメガ3脂肪酸を含む食べ物とその効果
つぎにマグロやサーモンといったオメガ3脂肪酸を含む食べ物にはワーキングメモリの性能を向上させる力があります。
2012年の研究では18-25歳の若者に6ヶ月間にわたってオメガ3脂肪酸を摂取させたところ、彼らのワーキングメモリが向上したそうです。
オメガ3脂肪酸を多く含む食べ物は
- サーモンやマグロなど脂肪分の多い魚
- 赤身の肉
です。
魚やお肉といった動物に含まれる栄養が大事なんですね。
また、もしこれらを含む食べ物を用意するのが難しい場合は下のようなサプリで摂取されるのがいいかもしれません。
質・量ともに良い睡眠をとる
デューク国立大学医科大学院の研究によれば睡眠は認知能力を弱めることがわかっています。
実験では成人たちにネガティブな感情を起こさせる写真を見せた後、ネガティブな写真を無視して普通の写真を思い出してもらうという課題を行いました。
するとよく眠った参加者は無視することができたのに対し、睡眠不足の者は無視できなかったそうです。
またフィンランドのヘルシンキ大学での実験では六歳から一三歳の被験者グループの睡眠の質と量の双方を、三日間観察しました。
すると、ワーキングメモリ課題でミスを犯しやすい人は
- 深い眠りに達するまでに長い時間がかかる
- 深い眠りの時間が短い
という2つの要素を持っていたことが分かりました。
つまり、睡眠の質と量の確保がワーキングメモリの改善に重要なのです。
外で自然と触れ合う
また、自然を散策することは、ワーキングメモリを改善することが知られています。
マークバーマンが行った実験では38人の成人男性たちに都市グループと自然グループとに分けて1時間散歩をしてもらいました。
すると自然を散歩したグループの方がワーキングメモリ課題のスコアが20%ほど良くなったのです。
時間がある時には外に出かけて自然の中を散歩をしてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
この記事ではワーキングメモリと関係のある発達障害についてまとめ、ワーキングメモリの改善するための習慣について解説しました。
ワーキングメモリと関係のある発達障害は
- ADHD
- ディスレクシア
- 自閉症
で、これらの発達障害の症状は、ワーキングメモリの改善によって良くなる可能性があることをお話ししました。
また、ワーキングメモリの改善のための習慣として
- ワーキングメモリに良い食べ物を食べる
- 質・量ともに良い睡眠をとる
- 外で自然と触れ合う
の3つをご紹介させていただきました。
ご覧いただきありがとうございました。この記事が、お子さんや大切な人の発達障害の症状の改善に、少しでも役に立てれば幸いです。
ワーキングメモリの鍛え方をもっと知りたいという方はこちらをご覧ください。
参考文献
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